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学習会報告(5)

白木町のごみ処分場計画にあらたな動きの可能性−その1−

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【準備ニュース8号】

学習会報告(5) 広葉樹林が与えてくれる海への栄養


 最後に、海の生態系に広葉樹林が果たしている役割について少し触れてみます。


 たとえば広島カキですが、カキは、太田川からの栄養で、プランクトンが増殖し、そのプランクトンを食べて、最近減ってきましたが、25億個のカキが、広島湾で養殖されているといいます。

 で、25億個のカキが、何日間で、プランクトンを食べ尽くすかということですが、大体四日間です。

 じゃあなぜ、プランクトンがいなくならないか、というと、次々新たに発生するからで、相当大きな、プランクトンが増殖するための栄養源が、広島湾にないと成り立ちません。

 確かに、窒素やリンは、家庭排水とか、汚れた水からも来るんですけど、しかしこの水は、色々な問題があって、余計なものも入っている。界面活性剤とか、環境ホルモンとか非常に大きな問題があります。農地から来る化学肥料の栄養塩も、赤潮とかを引き起こして、逆効果になる。

 それでは害のない栄養塩がどこから来るか、というと、これは森から来るんです。

 森林の土壌には落ち葉がたくさんたまっています。太田川の集水域の85パーセントが森林で、その森林の落ち葉は、自然林で、有機物の量でいくと、大体、年間ヘクタールあたり10トンから20トンです。そのうちのおよそ5パーセントが、太田川に流れていきます。

 結果的には、年間何百万トンもの有機物が川に流れ込むことになります。有機物は、この河川の中で分解されて細かくなり、腐植化して、太田川に流れ着くわけです。

 その有機物を、いろんな底生動物とかプランクトンが食べる。そういうプロセスを経て、非常に大量の害のない有機物を、太田川から広島湾に供給している。

 「母なる川」とはそういうことなんです。もちろん有機物だけじゃなくて、いろんな塩類が、ミネラルが運ばれているわけです。

 そういう意味では、太田川抜きには、カキの生産というのは本来考えられない。だから、カキ業者や、鮎を釣る人にしてもそうですが、正常な河川の流量に戻して欲しいはずです。

 途中で川がなくなってしまうんですから。川沿いを走っていて、よく見ると、中流域では非常に水が少ない。かなり雨が降ったあとでも、非常に少ない。ダムからあっちこっちに水が取られ、いきなり下流に流される。それから、高瀬堰あたりで、いろんなところへ、東広島なんかへも、送られる。

 本来海に流れる水や栄養が充分来ない、ダムで止まってしまう。そういうことがあるわけです。
 


■ 治水・利水を山(森林)から考え直そう
■ 6.29の土石流災害が教えてくれるもの
■ 広葉樹林が与えてくれる海への栄養
■ フリートーク(抜粋)
 
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