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根の谷川で魚が斃死

「川」に寄せて−『瀧』

川・百話 第二話

水の道をたどる(2)

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【準備ニュース4号】

「川」に寄せて−『瀧』 聖 瀧 三戸 博成
 

 聖瀧は、広島市の可部町を流れる根の谷川の支流にかかる高さ二十メートルの直下型の瀧で、幅は十メートルもあり滝壷も大きい。その下流には大小いくつかの瀧がある。

 瀧のある安佐北区檜山は、白木山の中腹標高三百メートルにあって、町おこしのため数年前から体験農業を行っている。体験に来る人たちに地元の自然も見てもらうため、聖瀧周辺が整備された。

 瀧に入る荒れていた道は、地元の有志の人たちによって整備された。瀧口には大きな藤の木があって、五月には美しい姿を見せてくれる。このことが中国新聞に紹介され、地元の人も驚くほど多くの人が訪れるようになった。






 聖瀧 (三戸博成画)

 この新聞記事を見た人から、瀧の由来が記された古文書の資料が届けられた。それによると、この瀧の名前は、昔、高僧がこの瀧の上を通ったとき、足を滑らせて落ちたことに由来すると伝えられている。また、瀧から歩いて十分下流には、皆具淵という大きな淵があるが、この淵の名も、昔、馬に乗った武士がこの上を通り、馬具もろともこの淵に落ちたことに由来することが明らかになった。

 瀧のある根の谷川上流の一帯は、太古に大きな陥没のあったところで、旧国道54号線が可部からおよそ十キロ北東に進んだのち大きなヘアピンカーブになるあたりである。上根峠付近の地形は、根の谷川断層の陥落による河川争奪地形であるとして、早くから研究者の対象になっている。

 標高二百七十メートルの上根峠を境に北東は平地で、簸(ひ)の川が北流しているが、峠の南西側は急峻な崖になり、八十メートル下を根の谷川が南流している。現在根の谷川上流部は太田川から瀬戸内海に注いでいるが、陥落が起こる前は日本海へ流れていた。

 瀧は、地質学上、歴史上、また自然環境の上からも貴重な遺産である。広島には大小二百を超える瀧がある。

 
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