太田川
市民フォーラム


基調講演


プロローグ


第一部
・太田川と広島カキの将来

・アユ資源の復活を目指して

第二部
・ダム(発電など)の負担を減らし、アユの自然な遡上の回復を!

・流域圏の環境保全と共生のありかた

・太田川河川整備懇談会における検討状況(治水を中心として)

・太田川の水質と「鮎とカキがよろこび、泳ぎ遊べる太田川」

太田川再生プロジェクト検討委員会~委員からの発言から~

太田川再生市民フォーラム~太田川の未来を語ろう~(2008年 4月 別刷り)

太田川河川整備懇談会における検討状況(治水を中心として)
中国地方整備局太田川河川事務所 阿部 徹


 平成9年の河川法改正に伴い、河川管理者は、河川整備を行う上で、長期的な河川整備の基本となるべき方針を示す「河川整備基本方針」と今後20~30年間の具体的な河川整備の目標や河川整備の内容を示す「河川整備計画」を策定することとなった。

 太田川については、現在、社会資本整備審議会の審議を経て国士交通大臣が策定した「太田川河川整備基本方針」を受け、国土交通省中国地方整備局長が「太田川河川整備計画(案)」を策定するため、その原案について河川に関し学識経験者から意見を聞くことを目的として、「太田川河川整備懇談会」を設置しており、その検討状況について、特に治水を中心にご報告する。

1.太田川の現状と課題

 
1)太田川河川整備基本方針では、計画規模1/200、基本高水ピーク流量 12,000㎥/s、河道配分流量 8,000㎥/s (玖村地点)で設定

 ・下流デルタ域は中四国地方唯一の百万都市、政令都市である広島市の中心市街地が密集し、高度な都市機能が集積

 ・河道で負担する流量は8,000㎥/sが限界(社会面、環境面、経済面等から総合的に比較したところ、8,000㎥/s河道が最適)

 ・基本方針では、4,000㎥/s の洪水調設が位置づけられているが、流域上流の洪水調設施設は1つ(温井ダム集水面積は253㎢、全体流域に占める割合は約15%)



 2)頻発する洪水被害

 ・昭和18年9月洪水、昭和47年7月洪水、平成17年9月洪水など、約30年毎に大出水が発生し、甚大な被害

 ・雨の降り方により洪水パターンは異なり、既存の洪水調設施設のみでは、雨の降り方によっては十分効果が発揮されない(昭和47年7月洪水は滝山川h流域型降雨、平成17年9月洪水は太田川本川上流型降雨)

 ・観測史上最大の流量(矢口第一地点:7,200㎥/s)を観測し、中上流部に甚大な被害をもたらした平成17年9月洪水

 ・もし、平成17年9月洪水の雨がもう少し強く降っていたら下流部も恐ろしい被害

 ・下流部の完成堤防区問でも、堤防の安全性の照査の基準を満たしていない区間が続き、堤防高と地盤高の比高差が約7mと、破堤した場合は大災害となる




 
3)頻発する高潮被害

 ・下流デルタ域は江戸時代から造成された干拓地で地盤高は低くゼロメートル地帯、また、広島湾奥は地形上、高潮被害を受けやすく、平成の時代になっても平成3年、平成11年、平成16年の高潮災害など被害が頻発

 ・広島湾の高潮対策は三大湾(東京湾、伊勢湾、大阪湾)の整備水準に対し著しく遅れている(直轄完工区間における進捗率は計画高潮位対応(T.P.4.4m)で46%、完成堤区間は0%)


 
4)適正・効率的な河川管理の必要性

 ・365日機能を発揮できる河川管理が不可欠
 ・不法係留船による流水阻害が懸念
 ・流れが複雑な市内派川(洪水時)


 
5)その他

 ・さらなる防災力向上に向けての防災情報提供等のソフト対策
 ・概ね良好な自然環境が残る太田川の保全・再生
 ・放水路を中心に干潟が残っている(干潟の保全)が市内派川にはヘドロが堆積(環境改善の必要性)
 ・希薄化する川との繋がり、水辺の賑わいを取り戻すことが求められている(水の都ひろしま構想)
 ・森・川・海の連携が求められている
 ・市民活動、経済活動に不可欠な太田川の水
 ・中上流部の約60kmの区間で減水区間が発生、自然環境や景観への影響が懸念
  (一方では、市民活動、経済活動を支えるクリーンエネルギーである水力発電)

2.整備計画策定のスケジュール

 
1)これまでの経緯

 ・河川に関し学識経験を有する者からの意見聴取を行うため「太田川河川整備懇談会」(以下懇談会)を設置。会議は公開とし、会議資料、議事録は後日太田川河川事務所HPに掲載。

 ・平行して関係住民の方々からの意見聴取を行うため、事務所HP、新聞折込広告、公的機関等での配布によるアンケート調査、「住民の意見を聴く会」を実施。

 ・上記意見等を踏まえ、懇談会をこれまで4回開催し、治水、利水、環境等における太田川水系の特徼と課題について議論。


2)今後の進め方

・上記太田川水系の特徴と課題を踏まえた対処方針の設定、整備計画原案について懇談会で議論していただくとともに、関係県知事及び関係市町長からの意見聴取を適宜実施し、原案作成後、公表を行うこととしており、その後速やかに関係住民意見、関係自治体の長、学識者の意見を踏まえて整備計画を策定する。
 
 
 
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