太田川
市民フォーラム


基調講演


プロローグ


第一部
・太田川と広島カキの将来

・アユ資源の復活を目指して

第二部
・ダム(発電など)の負担を減らし、アユの自然な遡上の回復を!

・流域圏の環境保全と共生のありかた

・太田川河川整備懇談会における検討状況(治水を中心として)

・太田川の水質と「鮎とカキがよろこび、泳ぎ遊べる太田川」

太田川再生プロジェクト検討委員会~委員からの発言から~


太田川再生市民フォーラム~太田川の未来を語ろう~(2008年 4月 別刷り)

アユ資源の復活を目指して 
元広島県水産試験場長 村上 恭祥 

1 アユ漁獲量は平成始め500トンが現在は200トン台まで低下した。

 放流量も漁獲量も平成の始めまで増えつづけてきた。しかし、放流量が増えた割に漁獲量が思うように増えなくなった(再捕率が低下した)のは昭和47年の水害の頃まで遡る。



2 アユが捕れなくなった理由

 1)河川環境が変った
  優しい流れ・平坦な川底・砂に沈んだ石(沈み石)の増加で、アユが住み難くなった。

 2)アユの餌であるコケが変った
  川の環境が変ってコケの最が増えて質が悪くなった。

 3)アユ種苗が変った
 天然遡上アユが減って、飼育アユの放流が増えた。飼育アユは好環境で天然遡上アユと同じ行動を示すが、環境の変化で縄張を放棄したり容易に流されるなど行動習性も劣化した。

 4)冷水病が蔓延した
  平成5年から発病し始めた。発病すると縄張り放棄して小出水でも流される被害は大きい。

 5)アユ漁業不振をもたらした原因
  河川環境悪化十コケの増加と質の低下十アユ種苗の行動習性劣化十冷水病蔓延が総合された。

3 アユ漁業不振の要因をアユ放流種苗から探る

 ○昔は苛酷な環境で育った天然種苗を水温もコケも整った川(楽天地)に移植放流した。
 ○今は水温が安定した池(楽天地)で十分な餌で育った種苗を過酷な川に放流している。
 ○天然育ちはアユ特有の行動を常に発揮し明確な系統差を表現する。
 ○飼育アユは縄張に無頓着で群生活・環境変化対応薄弱でガッツがない。
 ○太田川のアユ再生は、飼育アユ放流依存の増殖事業ではおぼつかない。

4 太田川のアユ再生の道は天然遡上アユの復活にかかっている

 ○太田川水系に放流してきたアユ種苗は毎年約20トン(1億円)、漁獲は約200トン(10億円)の経済効果を生んできた。
 ○200トンのアユが1日に食べるコケの欹は100トンと推定され年間1万トンのコケを回収し環境保全効果を生んできた。
 ○天然遡上が復活すればアユが獲れるようになり、経済効果も環境保全効果もさらに向上する。

5 当面、太田川再生に向けて河川利用で取り組むべき課題

 ○アユ資源の回復は、天然遡上復活に向けて、産卵親魚の保護育成と産卵場の造成および仔魚の流下・稚魚遡上路の確保等が必要である。
 ○アユ種苗の放流は、天然遡上復活を意識して瀬戸内海産天然アユなど系統を厳選し、遡上魚との競合を避ける増殖手法を講じる必要がある。
 ○オイカワやフナなどの未利用資源を活用し、漁師が漁獲、市民が川原で学び、食するなど漁協・市民が一体となったイベントが出来ないものか。
 ○川遊び・魚釣りなど、昔を懐かしむ高齢者は多い。潤いと安らぎを求める高齢者が川原と魚釣りを楽しめるような福祉目的の川原利用は出来ないか。
 ○河川環境の保全には市民による科学の目が必要。河川の基礎生産者であるコケを視点に置いた誰にでもできる「目視によるコケの簡易評価手法マニュアル」は定められないか

 
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