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学習発表会(3)

川・百話 第三話

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【準備ニュース5号】

川の流れについて

渡さん 「ようみんなから、この川では船や筏が流れよったというが、何でこの川で船や筏が流れよったんだろう、と聞かれます。今見たら雨時期なら別ですが、そうでなければ川の中には石が出とるし、水が少ないときは歩いてでも渡れるんじゃないか、という状態です。それは、昭和30年代から発電所に水を取られるようになってからのことです。あの頃の広島県知事は大原知事だったのですが、そのとき生産県構想というのを打ち出した。当時は発電と言えば水主火従で、電力の80パーセント、90パーセントが水力だった。

 昭和30年代にダムの建設・嵩上げ、発電所の建設が行われ、ダムや堰で取った水を発電所で発電した後、ずい道を通して発電所を太田川橋のところまでつないでしまった。これで普段はほとんどの水がずい道を通り、川の流れは水が極端に減ってしまった。特に津伏から下流の数キロは、雨季以外は水が流れんような、河原になってしまうところが出てきた。そのため、昭和59年に、川の水温が異常に上がって、鮎が何万尾も死んでしまった。すぐに中電に申し入れをして、毎秒3トンほど津伏から放水させました。こういうことは毎年続くということで、川筋の人々8千人の署名などにより、二年の交渉の後、それ以降5月から8月いっぱい毎秒3トンずつを放水させるようにしたわけです。

 
近年はちゃんとした河川としての機能を有するための水量は流さにゃいけんということで、大井川なんかも、静岡県が先頭になって中部電力に交渉して、あそこは太田川より大きな川ですが、量としては毎秒5トン流すようになりました。太田川も川筋の漁業組合が一緒になって交渉して、5年程前から夏の間は毎秒4.5トンになりました。日照りに水が干上がって、本流が河原になる、ということはなくなりました。そうは言っても、今もなおこの川では、流れる水の大部分が、発電用のトンネルの中を流れています。」
 

 太田川水系での発電の特徴は、

 大きなダム ⇒ 中型のダム(調整池) ⇒ 堰 ⇒ ・・・・太田川発電所 ⇒ 放水

       トンネル          トンネル     トンネル

 上流の大きなダムで取った水を、トンネルを適して放水するときに発電し、放水した水と川の水を調整池で堰きとめ、再びトンネルを通して発電し、再び放水したところでまた堰き止め、再びトンネルを通す、というふうに可能な限り繰り返して発電するところにある。
                   

太田川水系の「完全一貫開発」

 昭和30年代より前は、条件の良い場所を選んで発電していたが、30年代以降、「太田川水系総合一貫計画」として、「全流域を発電用に総合的に利用し尽くす」という構想の下に、他の川では例を見ない発電用水路網が張りめぐらされ、最上流の貯水池から最下流の太田川発電所までの未利用の落差はわずか1〜3メートルになった。これは、広島など瀬戸内地域の都市拡大・工業化を促すために、水源の降水量が豊富で、下流までの落差が大きく、電力の大消費地に近いことから、この川に目がつけられたことによる。

 
現在、単位流域面積当たりのダムの数は日本最多といわれる(約65平方キロに一基)。木曽川も電源開発の進んだ川であるが、川の長さ、流域面積は太田川よりはるかに大きい。川の規模から考えると、太田川の電源開発は、きわめて特異な存在と言わざるを得ない.ダムや発電所は、中国電力の制御所で一括管理、運用されている。

 
立岩・王泊・樽床の3ダムで、流域の約30パーセントの水が流入するといわれている。温井ダム、南原・明神ダムを加えると、ダムによる流水の支配率はさらに大きくなる。

 参考文献:「中国地方電力事業史」、中国電力パンフレット


<渡さんのお話から目次>
 

川の流れについて
太田川の水はきれいか? 生き物について
山について
大きいことはいいことか? フリートークから
 
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