広島県有機農業研究会 再開準備会ひらく
〜有機農業推進法・実施にむけて〜
2008年 9月 第89号 

■県下13農家・組織が参集

 食べ物の安心、安全が叫ばれ、農薬や化学肥料を使わない有機農業への関心が高まっていますが、そんな中、去る8月31日(日)東広島市中央公民館で、広島県有機農業研究会(会員約50名。会長・藤井巌氏=三次市君田町、事務局長・坂本重夫氏儿二原市)の再開準備会開催されました。

 同会は1978年(昭・53)に愛農会や日本有機農業研究会に参加する人々によって、設立され(当時会長・田辺省三氏・=福山わかつち代表故人)毎年、有機農業についての学習会を開くなどの活動を続けてきましたが、この数年活動が停滞気味になっていました。

 今回、有機農業推進法が、一昨年12月に施行され、国や地方自治体など行政も有機農業推進に力を入れることになり、これを機に、組織を活発化するために開かれたものです。再開準備会には、これまで数十年間、有機農業に取り組んできた農家の方々など(東城、神石高原、大崎上島、世羅、福富、君田、各地区代表)口人が集まり、有機農業推進法をめぐる全国の動きや農水省の施策、それに対応する会の今後の活動について、協議しました。本誌会員、約30人が参加する有機農産物流通組織の「百姓や会」からも、代表が出席しています。

■有機農業推進法とは?

 一昨年施行した有機農業推進法は、国や地方自治団体が、有機農業者への支援や技術開発、有機農業の知識の普及啓発、生産者と消費者との交流促進など実施することを定めましたが、その具体的な推進スケジュールは、今後5年間に全国47都道府県で、推進計画を策定すること、市町村段階では半分の自治体が今後5年間に推進計画を策定することとしています。

■広島県の推進計画は21年以降に…

 現在都道府県段階では、11道府県が既に計画を策定。中四国では、鳥取、島根、岡山、山口、愛媛、高知の6県が今年3月、計画を発表。広島県は、担当する食品流通安全室の話では「今年度は県内の有機農業の実体や、他県の策定状況について情報収集を行い、素案を作成。21年度に素案を基に、県内の有機農業者などと協議をし、21年度以降に策定する予定」だということです。

 広島県有機研の活動再会もこうした動きに対応して、県が策定する推進計画に県下の有機農業者の意見を反映させていく目的で、組織の再確立を図るもので、今年12月に再開総会を開催する予定です。

■モデルタウン育成に約2億円

 また、農水省は、法の施行に伴い、有機農業総合支援対策として今年度4億5700万円の予算を計上、対策の中心として有機農業振興の核となる、モデルタウン育成を計画。

 今年度は全国から事業実施団体を募集し、45団体を採択。総額2億円、1団体あたり、約400万円の推進対策費を支出しています。中国地方では、有機農業の取り組み20年以上になる旧柿木村を含む、吉賀町が採択団体になりました。

 広島県有機研では12月に総会を開いた後、合鴨水稲会、MOA自然農法中国地区、自然生態系農業研究会など、諸団体とも連携を図る予定です。

 有機農産物については、1999年(平・11)に有機JAS法が施行され(普通作物、作付け前2年以上、永年作物3年以上無農薬、無化学肥料)されていますが、これは国際的基準(コーデックス基準)に従ったもので、日本の気候風土に合わないため、生産が伸びず、現在全生産物のO・16%に留まる一方では、輸入有機農産物は年々増加する結果になっています。          (篠原記)

 
 
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