これは地元だけの問題ではない
出島沖埋立地区の第5工区の1画18haを、県が事業主体として産廃処分場にしようとする計画が着々と進行している。この計画の最大の問題は、その事業内容と共に、その内容が公開されるまでのプロセスにある。'99年3月には、県はすでにそれまでの計画を改訂して産廃処分場として位置付けていたにもかかわらず、地元住民に説明会が実施されたのは、今年('01年)の2月である。2年間ものあいだ事業主体である県が、地元住民に何の説明もしなかったというのは、情報公開レベルが全国的にも低水準という県の体質が表われただけでは済まされない問題ではないか。また、この事は広島市民、否、事業主が県であるのだから県民全体の問題である。
6つの責任を明確・対等に
ゴミ問題には私は常々6つの責任があると考えている。製造責任、流通責任、販売責任、生活(消費)者責任、処分業者責任、そして行政責任の6つである。この6者の関係は、互いの情報を公開し、自由闊達な議論を同じテーブルを囲んで積み上げる努力をし、そのような場が何度も設定された時、はじめて対等な関係が保障されるのではないか。しかし、現実は地元住民に説明会がもたれたのは計画されてから2年後であった。これでは住民が主人公の対等な関係どころか、住民無視の行政と言われても仕方があるまい。住民が主人公」というのは選挙用のお題目であってはならない。
7月30日に開かれた環境影響評価審査会に地元の方と出席してみると、そこは地元住民はオブザーバーとしての参加で発言権はなく、委員同士の質疑を聞くだけの場である。この場が、そのような性格の会議とあらかじめ位置付けられている以上、その事自体は仕方がないとしても、問題は審査会の議論の内容である。それはあたかも産廃処分場にすることを前提にした議論に思えたのは私だけであろうか?
ゴミ問題の根本的解決へ向けて
ともあれ10月上旬には、県が市に対して求めている施設許可に対する市の答申があると聞く。未来=子供たちに禍根を残さないためにも、市は明確に産廃埋立て処分場NO!と宣言していただきたい。しかし、この宣言だけでは問題の先送りで、根本的な解決にならない事を我々市民も自覚すべきだ。そこで提案したい。先に述べた6者が囲めるテーブルを早急に建設することを。
ゴミ問題は、私達一人一人の生活に深く根ざした、極めて緊急を要する課題である。「環・太田川」の読者はもとより、広く世論に訴え、それぞれの地域ごとに「テーブル」作りの作業に取りかかれないものだろうか。あの美しかった広島の海や川や山を取り戻し、未来に手渡すためにも……。
(山海草木)
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