4月6日、中区の広島市まちづくり市民交流プラザにて、本誌主催「太田川再生!市民フォーラム」が開催されました。参加者は我々の予想を大幅に上回り、およそ200人に達する盛況ぶりでした。基調講演に秋葉忠利広島市長、パネリストには漁協関係者や学識経験者、行政関係者から成る6人の方々(表―)を招き、それぞれの立場から見た現状報告や問題点の指摘などが行われました。終盤の総合討論では、時折笑いが起こるような和やかな雰囲気の中、市民から積極的に質問や意見が出され、活発な議論が飛び交いました。
開始に先立ち、基調講演を行った秋葉忠利広島市長は「太田川の再生は、川を自然の循環に戻す事だけではなく、市民が安全に川と親しみ、川を中心とした文化をつくる事も大切。一級河川である太田川に、広島市は直接な権限はないが、最も身近に暮らす広島市の行政・市民が一丸となって声を上げていく事で、子供達が遊び、カキやアユが育つ太田川を作ってゆきたい。」と、決意を表明されました。
その後、6名のパネリストによる講演が行われました。カキの生産現場から、川上清さんが、太田川の栄養が減って、カキが育たなくなった事を指摘。また、アユでは村上恭祥さんは「浮石の減少や水温の低下が、アユの再生産を阻害する可能性が高い。」と、やはり太田川の環境が生物に厳しい現状である事を指摘されました。
広島市主催の太田川再生プロジェクト検討委員会からは、森林の保水機能に関する検討については中根周歩教授、水質の観点からは佐々木健教授、そして、流域圈の環境保全のありかたについては井関和夫教授が、それぞれの専門分野の知見を加えて検討内容を報告されました。また、国土交通省太田川河川整備懇談会からは、安部徹所長が治水・利水面から見た太田川の現状と今後の課題、太田川整備計画策定の進行状況を報告されました。
総合討論では、市民からパネリストに対する質問や意見が活発に行われました。生物や環境保全に関する質問が多く、市民の環境に対する関心の高さが窺えました。しかし、過疎化が大きな問題となっている上流部の住民からは、人材不足による里山管理に関して「下流住民がもっと上流に関心を持つべきだ。」と、切実な訴えが出される場面もありました。
今回のフォーラム終了時に取ったアンケートでは、「普段は聞けない漁業・行政関係者や学識経験者の生の話が聞けて良かった。」や「身近な環境に関心を持ち、出来る事から行動していきたいと思った。」など、市民の方々にとって有益なフォーラムであった事を物語る意見が数多く寄せられていました。しかし中には、「進行時間がルーズである。」や「企業などからもパネリストとして参加してもらいたかった。」と言った指摘もあり、主催者としてフォーラム運営の難しさを改めて考えさせられました。
今回、アンケートに寄せられた貴重な意見を参考とし、今後のフォーラム運営に生かしてゆきたいと考えています。今後も、多方面から上流・下流住民の交流の場、流域の情報提供の場として積極的に活動してゆく環・太田川を、どうぞよろしくお願いします!
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