ツキノワグマ

●生態系・里山・里海

ツキノワグマは奥山に戻れないのか 2001年7月 若鮎号 「オヤ??ニラミ」より

 6月4日、山県郡筒賀村の太田川でアユ釣り中の男性がツキノワグマに襲われて大怪我を負われた。近年、これまででは考えられなかったような場所にクマが出没するようになり、住民は恐怖を募らせている。

 本誌スタッフ哲は、バイト先の教え子に、このことをどう思うか、考えさせてみました。以下にある生徒の作文を紹介します。ご意見お寄せください。

何で クマさんが出てくるの?

 このまえアユ釣りの人がクマに襲われました。とても恐かったと思います。学校の先生は、「昔はあんなところにクマが出てくることはまずなかった。」と言ってました。「クマが棲んでいた、山奥のドングリなんかがある森がなくなったりして、餌がなくなったことが関係しているみたいだ。この辺でも近くの山に団地が出来てから、今まであんまり見たことがない山鳥をよく見かけるようになったろう、あれとよう似とるよね。」とも言ってました。
 山好きのおじいちゃんに聞いたら、「クマは二十年ぐらい前に、中国自動車道が出来たころからおりてくようになった。キャンプで捨てたゴミなんかから、人間の食べ物の味を覚えてしもうたことも関係しとるじゃろう。おまえらも甘ったるいお菓子や脂っこい焼肉なんかの味を忘れられんじゃろう、あれと一緒よ。聞いた話じゃあ、もう人里の食べ物を口にするようになって何代かたっとるけえ、山には戻りにくいそうじゃ。」と言ってました。
 
クマさんは  もう山には戻れないの?

 私は、人里に出てきたクマが殺されてしまうのは仕方がないと思います。山に戻れないんだったら、何をするか分からないから、恐いもん。でも、見かけたら捕まえて殺すだけっていうのもなんかおかしい気がします。クマさんが自分から山に戻ってくれるよう、工夫できないのかな。これからドングリの森が広がっていった方がいいんだろうけど、それは何十年、何百年かかるのかな。
 だから、もしまだちょっとでもドングリの森があるんなら大事にして、ゆっくりゆっくり、ちょっとずつどんぐりの森を増やしていかなくちゃ、と思います。でも、その前にクマさんが一匹もいなくなったら…。
 
私たちだって…―

 それから、クマさんに「人間の食べ物の味を忘れて」っていうのはとっても難しいと思う。私たちだってお父さん・お母さんに「変な化学物質が入っているかも分からないから、あまりコンビニのお菓子を食べてはいけません。」って注意されても、あのべろがしびれるような甘さは忘れられない。やっぱりコンビニに通っちゃう。うす味のお煮しめや魚の塩焼きばっかりだとがまんできない。どうしたらいいのかな。
 なんかクマさんの話から自分のおやつの話になっちゃった。変なところでつながっちゃったね。
 
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