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●環境 |
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地球温暖化対策
脱炭素社会へ! 家庭で何が出来る?
〜「生協ひろしま」の取り組み〜 |
2007年12月 第80号 |
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今年の夏は連日気温35℃以上の炎暑がつづき、地球温暖化の影響が一層肌身に感じられた年でした。インドネシア・バリ島で開かれている気候変動枠組条約の第13回締結国会議(COP13)では、京都議定書以後の2013年から20年までに先進国の温室効果ガス排出を25〜40%(90年比)削減する必要を明示するなど、地球温暖化対策は待ったなしの課題になっています。
そのポイントは、C02削減を身近な家庭の暮らしの中でどう実践するのか? 広島県民115万世帯の約30%の34万世帯が組合員として加盟している「生協ひろしま」では、この秋から具体的な取り組みを開始しました。廿日市市大野原にある本部事務所を訪ねて組織企画部CSR(企業の社会的責任)担当課長、佐々木桂一さんにお話をうかがいました。(取材・篠原一郎)
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「生協ひろしまは5年前、02年3月にIS014000の認証を取得、本部事業段階で環境改善への取り組みを開始、ゴミの資源化などで成果を上げている様子は、本誌でも2年前(06年1月発行、57号参照)で紹介しました。今日は、その後の取り組みについてうかがいたいのです」
身近に迫る温暖化
先ず、身近な広島の環境で、温暖化がいかに進んでいるかみてみましよう。熱帯夜の日数が80年代までは年間20日以下だったのが、90年以降、毎年のように30日を越える年が多くなり、平均気温で見るとこの40年間で2℃上昇しています。広島湾の海面温度も3℃上昇、潮位も50年間で30cm上昇しています。宮島の宮殿床が水浸しになるわけですね。まさに待ったなしの状況です。
全国に先駆け暮らしの省エネをデータ化
私たちは環境改善を事業所の取り組みと、組合員の日々の暮らし(家庭の省エネ)の両方を車の両輪として進めてきました。
企業活動での対策にはISO(国際標準化機構)の規定などでシステム化されています。
また、「エスコ(ESCO)事業」といって、工場やビルの省工ネについて、包括的なサービスを提供、省エネを実現し、経費はその企業の省エネーメリットから受取る、というようなことも一般に行われています。
ところが、家庭の省エネでは、暮らしの実体をとらえるデータがないのです。環境省など省エネの指標など、平均値としては出しているのですが、これでは暮らしの変化も分からないし、正確な実体はわからない。「体重計もなしに、体重を減量しろ」といっているようなものです。だから行政の活動も呼びかけに終わっている。
専門家が入って省エネ技術と評価を明確にする必要があります。私たちは広島市温暖化対策協議会の家庭・消費者ワーキンググループの事務局を引き受けて「家庭の省エネ診断システム」を作ろうと努力してきました。実際に、広島の家庭の具体的な実態調査などの数字の積み上げで、ポイントになるデータを抑えることが出来、システムが完成して今年から省エネ診断員の養成講座を開いています。これからこの診断員を中心に、省エネ相談を受け付けていきます。
相談をうける人は「エコライフ診断記入入シート」と「わが家の省エネ対策メニューと削減予測」(同封別紙参照)に実行している省エネの内容を記入してもらい、これに基づいて診断員がコンピューターに入力し、削減したCO2の量と削減金額を明示するというものです。
ここでは、家庭での省干不を実行する上で、知っておいた方がよい基礎的なことをご紹介しましょう。
家庭の排出は産業界に次ぐ
先ず、日本の総排出量は12億9300万t(2005年)で、これを部門別に見ると産業=35・2%、運輸=19・9%、第3位が家庭で=13・5%です。これは間接排出量で発電の最終排出量を部門別に配分した数字で明示したもので、直接排出量で示した表をよく見ますが、家庭は5・2%になっていて少ない印象をうけます。それに運輸の排出量の半分はマイカーなのでこれを入れると家庭=23・5%になり家庭の排出量は第2位で、産業界についで多く家庭での省エネがこれからの大きな課題になっていることがわかります。
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「出来ること」から始める
家庭からの排出量は1戸平均5500kg(全国・年間)ですが、これは全国の単純平均で、我々の調べたデータでは広島はこれより少なく、戸建てで4400kg、集合住宅で3200kgです。市内では中区、西区は少なく安佐北区、南区は自動車の使用が多いことから多めになっています。内容をみると多い順に電力、ガソリン、ガス、灯油の順です。
1世帯あたりの排出量は減少しているのですが、核家族化か進んでいるので総量は増えています。
家庭で省エネを進める時、私たちは3段階を考えています。第1段階では「誰でも出来ること」から始める、第2段階では「暮らしを見直す工夫」をする。そして第3段階で「省エネ機器の導入」を考えるということです。先ず出来ることから、はじめましよう。生協組合員の組みの現状をみると、「何かの実践をして成果を上げている」のが省エネ対策の取り10%「やりたいけれど家庭の協力が得られない」というのが80%、残りの10%が「やり方がわからない」という状況です。どうも男女の違いなどで取り組む内容についての意見が一致しないことがあるようで、数字を基にして家族で話し合い、何をどう実践するかよく話し合って、削減効果の多いものから考えて挑戦することが大切です。
先ずお風呂対策と暖房
暮らしの上での用途別の排出量は多い方から、給湯、暖房、冷蔵庫、厨房の順で、給湯と暖房で52・3%、半分以上のCO2を出しています。やはりお風呂が一番多いのですね。次が冬の暖房、これは地域によって大きな差があり、県北では多くなります。
お風呂対策としては、お湯の使用量を減らすことです。かけ湯を3杯=10リットル減らすことでガス風呂の場合、4人家族で水道料が年に1万円減額できます。
エアコンの暖房は、冷房の1・2倍〜1・5倍多い電力が必要です。だから暖房対策は部分暖房(コタツ、カーペットなど)をして、足りない所を部屋全体の暖房をプラスする考え方が必要です。
冷蔵庫対策と待機電力カット
第3位の冷蔵庫対策ですが、夏に扉の開閉を少なくすること。意識して減らすことと比較して、1・26倍かかることが分かりました。開閉の頻度が多くなる冷えた麦茶などは、引きだし庫に入れると消費電力を減らすことができます。冷蔵庫は12〜14年の耐用年数がありますが、省エネタイプのものに買い換えるとI〜2割減少、年問1万円以上節約できます。
よく言われる電気の待機電力ですが、省エネタイプになって減っているといいますが、電気製品そのものが、パソコンやその周辺機器が増えているために、総量としては増えています。これをこまめにカットすることでCO2を3%カットでき、年間約4000円節約になります。
第3段階の省エネ機器の導入では、給湯=お風呂との関係で太陽熱温水器がかなり有効ですが、本体だけで200sもあり、木造の家では屋根が重くなるので、施工店で進めない面があり普及にいま一つです。太陽光発電は初期投資に300万円ぐらい、節電効果も大きいのですが、補助金もなくなったので、費用対効果では採算が合わない点が問題です。
お気軽に相談を!
以上家庭における省千不のポイントをご紹介しましたが、これまでの相談から見ると、取り組んでいる家庭では年額で1万〜4万円の省エネ効果を出しています。地域の特徴をみると、広島市では西区、中区は集合住宅が多く安佐北区、南区など郊外は一戸建の家が多い、それもお年寄り夫婦だけの家庭が急増しています。一戸建てはどうしても外気の温度に左右されやすく、電力などの消費も多くなります。
こうした変化もこれから地域全体の省エネを考える場合、基本から暮らしのあり方をどうして行くのか、考えなければいけないと思います。
これから「生協ひろしま」では診断員を中心に家庭の省エネ活動を展開していきますので、どうぞお気軽にご相談ください。
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