【読書の秋】
先日、本屋に立ち寄ったら。2009年度版”スケジュール帳、日記帳、家計簿が売られていた。なんとまあ、気が早いことか。と思いきや、時間が経つのは早いモノで、ふと気づくと今年ももう四分の三が過ぎてしまっている。果たして今年は何をやり遂げただろうか・・・。年初めに誓った目標は達成できているだろうか。そんなことを考えてみると、少し恐ろしくなった。まだ、何も出来ていないような気がする。残り三ヶ月気を引き締めてがんばらなければと思う今日この頃である。
さて、季節は、”秋”。「食欲の秋」、「スポーツの秋」、そして「読書の秋」である。食欲はたいして無いし(って不健康な!)、スポーツも職場でやっている月一回のソフトボールのみ。しかし、本はしっかり読んでいる。ほとんど専門書だが(苦笑)
そうは言っても、私は一ヶ月に一冊は専門書以外の本を読むように努力している。多くは文庫本(特に小説)だ。文庫本ならお手頃価格だし、持ち運びもしやすい。船や電車、飛行機で移動中に読むことが出来る。現実逃避も出来るし(謎)
内容は、「恋愛モノ」を読むことはほとんど無い。SFか推理モノか、スパイか。そんな現実離れをしたものが多い気がする。とはいってもすべてが、架空”というのは好きではない。ある程度あり得そうな内容で、文章の節々に教養が身につくようなものが良い。数年前にはやった「ダヴィンチーコード」(著者はダン・ブラウン氏)なんかは非常に楽しく読ませてもらった。内容については異論反論があるかもしれないが、西欧人の「宗教と科学」に対する考えや史実が所々に盛り込まれている点では非常に面白い。
瀬名秀明さんの本もなかなか面白い。日本ホラー小説大賞となった「パラサイト・イヴ」は医学、生化学などの知識が満載で科学的知識をつけるのにも役に立つ。ただし、専門用語が多すぎて、相当好きな人でなければ飽きる。この小説が文庫本となった当時、私は水産大学校の学生だったが、読んでも半分はちんぷんかんぷんだった。読み切った後に達成感はあった(笑)。
瀬名さんは現在、東北大学工学部特任教授(SF機械工学企画担当)を勤められている。ロボットエ学を考慮した小説の執筆が多いようだ。SF小説を「創造」の一端と捉えるとともに、科学の普及のための作品づくりを手がけているらしい。文才のない私には出来ない芸当だ。
【深海のYrr】
先日、当誌「若者放談」で話題にあがった「深海のYrr」を読んでみた。「深海のYrr」は、ドイツの小説家であるフランク・シェッツィングさんの作品だ。同氏は科学的知見を盛り込んだ作品を書くのが好きようだ。「知られざる宇宙」といったタイトルの小説も執筆している。
「深海のYrr」の概要を書いてしまうと、ネタ晴らしになってしまって、これから読む方に申し訳ないので割愛したいと思うが、簡単に言えば、海から「人類滅亡の危機」がやってくる話だ。宇宙から「異星人」がやってくるのではなく、我々の星。”地球”のなかでの闘争である。何かやってくるのかは読んでのお楽しみだ。(私は。ハヤカワ文庫”の回し者ではありません、あしからず)
この小説で実に驚くのは、海で現れている”事実”をよく掴んでいることだ。例えば、猛毒クラゲの大量発生ということが書かれているのだが、これも実際にあることだ。大量に発生して人間を襲う(実際は人間をターゲットに襲うことはない)ので、漁業や海水浴が出来ないといったことが小説のなかでも登場する。
それから、生物を麻酔、固定(保存・標本にするという意味)する溶液もかなりマニアックなものが書かれている。これらの文章を見ると、この作者は相当調べ上げたのだなという観がある。専門家でもないのに大変だっただろう。
「深海」。ここは非常に謎に包まれている。宇宙より謎かもしれない。先日も、こんなところに魚が生きているのかということがニュースになった。それほど解らないことだらけだ。小説みたいなことがあったりして・・・(怖)
個人的には・・・・海をテーマにした小説を読むと非常にわくわくする。海洋生物学者が主人公だと自分に置き換えてみたり・・・(笑)
【人類滅亡の危機】
”人類滅亡の危機”が小説で書かれると、必ずと言っていいほど、主人公クラスの人が死ぬ。まあ、アーノルドーシュワルツネッガーが主人公だと死ぬことはないだろうが、たいてい自分の身を犠牲にして、人類滅亡の危機から救う。「人間」はそれほど”危機”から脱出することは大変だと理解している証かもしれない。当然”危機”なので簡単になんとかなるなんてことはあり得ないのだが・・・。
それから気になるのは、「地球滅亡の危機」はどうしても米国が中心に描かれる。「深海のYrr」もドイツの作家なのにも関わらず、米国が中心的な役割をする。これも社会の情勢を反映しているということか・・…ところで、我が国日本はどれくらい人類滅亡の危機に対応出来るのだろうか。
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