十五景 咋年の記録
一、落合の松の雪 一月
二、台の原の梅 三月十六日満開
三、町裏筋一帯の梅 四月九日満開
四、月ヶ瀬の夜桜 同
五、月ヶ瀬のつつじ 五月上句
六、永代橋の大白藤 五月七日満開
七、吉水園の森青蛙 六月四日
八、丁川の河鹿
九、丁川の蛍
十、太山川の鮎舟 六月九日解禁
十一、百句園のさつき 六月
十二、月ヶ瀬の彼岸花 九月二五日満開
十三、百々山の名月 九月二九日
十四、吉水園の紅葉 十ー月十八日 真紅
十五、長尾の銀杏黄葉 十一月二三目 真黄
「落合の松」は加計町における三大名木群の一つで、他の二ヶ所は「草尾観音堂」の松と、「津浪河内神社」の杉名木群である。
町裏筋一帯の桜は、丁川河畔から月ヶ瀬、加計駅、小学校、裁判所、高校、滝山亭付近迄、真に豪華である。
「月ヶ瀬の夜桜」は公園に毎年ぼんぼりが取り付けられ、昼も夜も花見客で賑っている。
「永代橋の大白藤」は丁川河畔にある猪野桝市氏の藤で、特に月光に照らし出される光景は見事である。
「吉水園の森青蛙」は県の天然記念物に指定されている。産卵期の六月五、六の両日開園される。
「丁川の河鹿」はひさげ辺りがよく鳴くようである。また蛍は、永代橋付近ではめっきり少なくなったが、勝草の蛍の絢爛さは町内屈指のものと言えよう。
「百々山の名月」は月ヶ瀬より見るのも良いが、距離的には旭橋より仰ぐ方が良いように思える。
これらは二十数年前の加計四郷のことだから、現在はいくらか変化もあるかも知れない。自然の美しさを受け継ぎたい気持ちから取り上げてみた。『土筆野』は後燈明俊治氏によって1984年1月より月刊発行されていた。1990年に亡くなられて、同年8月号で廃刊となり残念である。
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