アユ親魚放流5年目今年50万尾遡上と推定
2007年10月 第78号 瀬音のひびきより


 太田川漁協では毎年、約1万尾の親魚を放流。卵から孵化した稚魚が冬を広島湾ですごし、春3月ごろ遡上してくるという天然アユの増殖を5年計画で実施しています。4年目を向かえた今年も、安芸大橋右岸上流の通称「ヤナギ」で1万1千尾の親魚の放流が行われました。親魚放流のこれまでの成果について太田川漁協の田村龍弘さんに取材しました。

 今年の太田川のアユ漁は、眷が暖かく水温も上がったので生育がよく災害もないので、釣果もよく、上下流いつも数人の釣り大が川に見かける風景がよみがえってきています。取れたアユの中から遡上した天然アユの特徴を確認し、その割合から推定すると、今年広島湾から遡上した天然アユはおよそ50万尾だといいいます。

 これが、毎年1万尾の親魚放流の成果の数字だが、計画された5年目の来年の目標は100万尾なので、まだ道半ばという所。1万尾放流してどのくらいの割合でアユが遡上するのか、年毎の変動があるのでわかりません。例えば今年は、10月に入っても雨が少ないので、上流の親魚が産卵場所にまでたどりつけないことも考えられる、こういう年が産卵場への親魚放流が効果を現すという。

 これまで、太田川のアユ漁は春先に稚魚を放流、それが6月解禁以降、大きくなった所を漁獲するという形で、稚魚放流に頼ってきました。多い時には300万尾(平成3〜4年)を越える稚魚を放流したが、去年には100万尾に減らしています。

 漁獲尾数も4年前には最低26万尾にまで落ちましたが最近は次第に復活。一昨年は、65万尾まで復活してきています。推定50万尾遡上という成果が徐々に漁獲を押し上げています。太田川のアユの産卵場は「ヤナギ」付近と、三篠川と本流の合流点の2ヶ所あるが、高瀬堰上流の産卵塲で孵化した稚魚の降下をねらった高瀬堰の水門操作もこれまでの実験調査で、効果があることが確認されています。今年も、引き続き10月1日から11月末日まで、平常の左岸1号ゲート開放から本来の川筋であった右岸端の6号ゲートに移して堰内の水を流し、確認試験が行われます。(篠原)

 
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