箱庭の海からの便り 川上 清
2008年 3月 第83号

 招かざる珍魚…

 日本近海の海水温上昇でナルトビエイなど招かざる客を初め珍魚や有毒魚、毒クラゲからプランクトンまで、黒潮の蛇行接近に乗って次々姿を見せている。

 平成19年の1年だけを見ても、5月の外洋の水深100 mあたりに生息する「タテジマトラギス」に続き、南方系の有毒魚「サツマカサゴ」を山口県上関沖で発見、また国内、海外でも報告例のない「真黒カサゴ」も原発施設に抗議するかのように上関におめみえ。

 わが「箱庭の海」=広島湾に近い呉市倉橋島の浅場を暖かい海のサンゴ礁からきた「サザナミフグ」が悠々と泳ぎ回り、似島のカキ筏で採集された南方系の「ソウシハギ」のほか、5年前見つかった観音沖の「オニアジ」、場所は不明だが「ミナミイケガツオ」「ホシフグ」など多士済々。「箱庭の海」にもサンゴ礁ができるのではないかと思わせるくらいである。

 そのほか、黒神島カキ筏に着床している強い刺毒をもつ極小クラゲポリプ「イラモ」など海の生態系に悪い変化をもたらす可能性のあるものがワンサと見参。さて、どうのように対応すればよいのやら…

 
 
 
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