箱庭の海からの便り 川上 清
2008年 2月 第82号

 今年のカキ養殖

 年が明けて、一時的に寒い日があり「オツ、ラニーニャは健在」と平常な寒気がくることを期待したのだが、1月は18日の冬土用、21日の大寒も暦の上だけの寒さ。「箱庭の海」もその気配に従うように広島市農林水産振興センターの観測では、1月15日、水深5 m=13℃と平成10〜19年の平均値より0.8の高めの水温が続き、塩分濃度も、33.5 (psu)と以前高い。2月に入って12日には10.9℃、塩分濃度は32.9(psu)に下がっているがまだ高めである。

 このままで推移するとカキ養殖は9月〜11月の前半出荷の「ノコシ」(前年の残り3年もの)や「イキス」(早期出荷目的で早めに仕込んだもの)が大不作で泣いた業者が、最後の望みにしている「ヨクセイ」(2年養殖)もあまり回復できず、かつてのヘテロカプサ(赤潮)被害にも匹敵する無残な年で終わるのではないかと憂慮している。

 しかし、これが全てラニーニャ嬢のなせるわざとするのは少し酷。太田川の流量や、水質悪化で貧弱になった栄養塩、それを摂取し増殖する植物性プランクトンの不足に起因する面も大いにあるのではないかと思う。
 
 
 
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