箱庭の海からの便り 川上 清
2007年11月 第79号


 
ラニーニャの恋の恨みか知らねども
          炎暑にひずむ列島の夏


 広島市に93年ぶりに9月の歴代最高気温36.9度を記録した6日から3日後、金輪島のドウ石に刺し網漁にでた。とにかく驚いた。ひと網に30cmクラスのアイナメが20尾も掛かっていたのである。今年の夏はラニーニャ現象の影響で、暑い毎日になるだろうと予報の出た5月23日37尾の海タナゴをケットして以来の予想外の大漁である。

 海タナゴの37尾はそれ程珍しいことではないが、アイナメ20尾はなんとも不気昧な監事の異常現象、鳥肌の立つ思いの数字である。その上8月頃まで常に20尾ほどゲッ卜していた海タナゴが、9月に入るとピタッと姿を見せなくなったこととあわせ、これも炎暑のもたらした歪みと受け取らざるを得ない。

 事実、8〜9月の海水温は30度まで上がり、塩分濃度は一般海域の27〜32PSUを超える33PSUもあり、このダブルパンチで「箱庭の海」は酸欠状態。魚たちの生態に狂いを生じさせたものと考えられる。

 最近の数万尾に及ぶコノシロの斃死も同源のことかもしれない。防ぎようのない大自然からの復讐の始まりか?
 
 
 
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