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太田川の生命を描く「新己斐橋げた」に壁画完成
〜市立大出身の画家 こだまこずえさん〜 |
2007年3月 第71号 |
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平和大通り西詰にある新己斐橋西側の橋げたに、上流から地元、己斐までの太田川の自然とここに生きる人と生き物を幻想的に描いた壁画が完成し、3月3日午後6時半から、地元の人々へ披露する会が開かれました。
広島市立大学芸術学部出身のこだまこずえさんが、環境問題に取り組む「エコロジー研究会」の依頼で去年の12月から2月まで3ヶ月かけて制作した作品です。
こだまさんは、街でよく見かける普通の若い女性。細い体つきのどこにこの巨大な壁画を描き出すエネルギーがあるのかと、不思議に思われる人ですが、シャッターチャンスをねらいファインダーを通して顔のUPをねらうと、大きな瞳の動きや、笑顔のなかに、素直に澄んださわやかさが表出され、その透明感に彼女を支える秘密があるのかな、と思われました。
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作品披露の会では、100人の参加者を前に、こだまさんが、製作の過程を追いながら縦3m、横22mの壁画に描かれたパートのモチーフを説明しました。こだまさんの話では最初はこの場所から見える宮島を描こうと考えたそうですが、雁木の会との忘年会で太田川の上流からの恵みが下流の広島を支えているのだという話を聞き、太田川上流から下流までを描くことにしたとのこと。上流部分では三段峡の滝、遊歩道でドーナッツを取り合う子供達、それをねらう絶滅危惧種の鳥、中流ではアユの友釣り、2匹の鯉が仲良く泳ぐ様子など、専門家から詳細を学びながらそれぞれに思いを込めた胸の内を語ります。
また、下流では己斐の地名の発祥となった神功皇后の伝説をモチーフにして、女神が天空から広島の街全体を見守るように舞う様子が描かれています、女神に見守られる広島の街には原爆ドーム、平和資料館、広島市民球場、市内を走る651号の被爆電車もあります。イサム・ノグチ制作の平和大橋は、もうすぐ取り壊されるので、是非描いて欲しいという要望に応えたという話。左端の宮島の鳥居の向こうからは朝日か夕日か太陽が昇り希望を込めた光が全体を包みます。
冬の寒風にさらされながらの毎日で、寒さに負けそうな時もあったと語るこだまさん。それを励まし支えた多くの仲間の人々への感謝の言葉も…。そして最後に市民の皆さんがここに来て太田川との対話の中に楽しい時間を過ごしていただきたい、この絵を中心にみんなの交流ふれあいの場ができることを願っていると語りました。読者の皆様も是非一度この壁画と向き合って、こだまさんの描いた太田川の生命を感じていただきたいと思います。 (篠) |
こだま・こずえさん…1979年呉市生まれ。2003年広島市立大学芸術学部油絵学科卒業。女優としてもNHK教育番組「さわやか3組」にレギュラー出演。
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