この木の叫びが聞こえますか−被爆樹木は訴える− (写真:滝口秀隆さん)2001年8月 酷暑号 広島城内のユーカリは二の丸跡の内堀に寄って立つ爆心から740メートル。 被爆して生きている木としては最も爆心に近い木である。 木の南側を激しく焼かれ、内部は黒い空洞となりながら、その反対側から芽を吹き出し、さらにその後の台風(71年)によって樹幹を折られ、なおその下から幹を蘇生させ、枝を出し、しゃにむに生きようとする強烈な闘争心のようなものに圧倒される。 それは、口に平和を唱えながら一方で過去の過ちを正当化しようとしたり、核兵器の存在に追従したりする人間に対して、猛烈な無言の叫びを発しているように見えて、思わずはっとさせられる。 左は千田小学校のクスノキ。 千田小学校にはクスノキのほかにも被爆樹木がたくさんあるが、これらはすべて移植された木でどこで被爆したのか記録が残っていない。熱線を受けた跡はありありと見える。