写真・絵画で甦る太田川 

写真・絵画で甦る太田川 
(91)加計の歳時記


 ☆動・植物篇十五景

 加計の自然の美しさから十五景を選んだものが『土筆野』の1986年3月号に紹介されているので、取り上げてみた。

←写真は加計の町の俯瞰
 中央に市中、眼下に丁川を望む。太田川本流が上方左から流れてU字に方向転換していっている。



  十五景     咋年の記録
一、落合の松の雪   一月
二、台の原の梅   三月十六日満開
三、町裏筋一帯の梅 四月九日満開
四、月ヶ瀬の夜桜    同
五、月ヶ瀬のつつじ 五月上句
六、永代橋の大白藤 五月七日満開
七、吉水園の森青蛙 六月四日
八、丁川の河鹿
九、丁川の蛍
十、太山川の鮎舟  六月九日解禁
十一、百句園のさつき 六月
十二、月ヶ瀬の彼岸花 九月二五日満開
十三、百々山の名月 九月二九日
十四、吉水園の紅葉 十ー月十八日 真紅
十五、長尾の銀杏黄葉 十一月二三目 真黄


「落合の松」は加計町における三大名木群の一つで、他の二ヶ所は「草尾観音堂」の松と、「津浪河内神社」の杉名木群である。

 町裏筋一帯の桜は、丁川河畔から月ヶ瀬、加計駅、小学校、裁判所、高校、滝山亭付近迄、真に豪華である。

 「月ヶ瀬の夜桜」は公園に毎年ぼんぼりが取り付けられ、昼も夜も花見客で賑っている。

 「永代橋の大白藤」は丁川河畔にある猪野桝市氏の藤で、特に月光に照らし出される光景は見事である。

 「吉水園の森青蛙」は県の天然記念物に指定されている。産卵期の六月五、六の両日開園される。

 「丁川の河鹿」はひさげ辺りがよく鳴くようである。また蛍は、永代橋付近ではめっきり少なくなったが、勝草の蛍の絢爛さは町内屈指のものと言えよう。

 「百々山の名月」は月ヶ瀬より見るのも良いが、距離的には旭橋より仰ぐ方が良いように思える。


 これらは二十数年前の加計四郷のことだから、現在はいくらか変化もあるかも知れない。自然の美しさを受け継ぎたい気持ちから取り上げてみた。『土筆野』は後燈明俊治氏によって1984年1月より月刊発行されていた。1990年に亡くなられて、同年8月号で廃刊となり残念である。
 (幸田)
 
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