みずべのいしぶみ
●みずべのいしぶみ
村山鬼城の句碑 2006年 4月 第60号
太田川源流、廿日市市吉和の頓原地区の水田の畔にひっそりと立つ句碑である。
群馬県高崎出身、境涯の俳人といわれた村山鬼城の代表作
「生きかわり 死にかわりして 打つ田かな」
の文字が刻まれている。
誰が建てたのだろう?
近所で山仕事をしているお年寄りに聞くと、昭和36〜37年頃の吉和村村長、藤井数美さんが自らの屋敷のそばの田んぼに建てたのだという。屋敷はもう無くなり、蔵が残るだけ。句碑には、昭和36年4月1日建立の文字が見える。
旧農業基本法が施行された年である。村長の藤井さんはこの句碑にどんな想いをこめたのだろう。そこには新しい農業基本法への期待と決意があったに違いない。今、ここの水田は基盤整備ができて、機械が田を打つ時代になったが、山際から棚田が次第に消えている。近くの墓標に藤井数美、昭和40年死亡、享年74歳の文字があった。
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