『里海論』 柳 哲雄 著 (恒星社厚生閣)


 
「里山復活」を海でも…

 沿岸海域(水深200m以浅の海)は、陸からの高い栄養塩負荷や光の届く範囲の広さから、基礎生産力の高い、生命活動の活発な領域です。特に四方を陸地に囲まれる瀬戸内海は、世界の閉鎖性海域(チェサピーク湾、地中海など)の中でも、最も高い漁業生産力を誇る、豊かな海です。

 しかし、人の生活と隣接した海域なだけに瀬戸内海では、排水による富栄養化や浅場の埋め立てによる水質汚染、干潟喪失などで、今その生産力が落ちつつあります。今後は人と海が持続的な関係を維持する新たな方向性を探る必要があり、そこで生まれたのが「里海論」。山の方では「里山復活」が叫ばれ、それを海にも拡げようということです。「里海」の最初の提唱者、柳哲雄氏がその基本的考え方をコンパクトに(B4版100頁)解説しています。人類活動が海の高い生産性を損なう事無く、持続可能な関係を続けるためにはどうするべきか。本書は、日本の沿岸海域があるべき未来像をイメージさせてくれる一冊です。     (岩本)

 
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