『生物と無生物のあいだ』 青山学院大学教授 福岡伸一著 (講談社現代新書)


 
生命とは何か?この問いに答えて、生命と食べ物の関係、身体の成り立ちと生命の関係を分かりやすく説明してくれます。

 普通私たちは、身体は自動車のエンジンのようなもので、それを動かすエネルギーとしてガソリン=食物のカロリーをつぎ込んで燃やしている、と考える。ところが「そうではない」ことが米国の分子生物学者、ルドルフーシェーンハイマーのねずみの実験(1937年)で明らかになった。

 食べたものはどこへ行くのか?

 彼は餌に含まれる酸素や窒素に色をつけて、ねずみに食べさせ行方を追った。その結果、食べたものはねずみの心臓、脳細胞、血管の細胞に取り込まれていた。

 食べ物の分子は単にカロリーとして燃やされるだけでなく、身体の全ての材料となり、身体に溶け込み、同時に身体を構成していた古い分子と入れ替わる。ネズミでは3日で、身体のたんぱく質のほぼ半分が置き換わった。

 「人問の体も数力月たてば、脳も心臓も分子のレベルで新たに置き換わる」ということ。「生命はその絶え間のない流れの中にある」と福岡さんは言います。

 「食べ物と生命」の関係を改めて考える〜とにかく面白い本です是非ご一読を!

                                   (篠)
 
当ホームページ上の情報・画像等を許可なく複製、転用、販売などの二次利用をすることを固く禁じます。